中学生・高校生の過眠症・ナルコレプシーとは
学校の先生が生徒の居眠り・眠気で困っている
子どもの眠気・集中力低下・成績の問題があって悩んでいる保護者の方へ
監修:阪野クリニック岐阜いびき睡眠障害の治療外来 阪野勝久
・授業中ほとんど寝てしまいます。
・いくら寝ても睡眠が足りない感じがします。
・宿題をやっているときに突然眠気に襲われてしまいます。
学校の担任の先生から、保護者の方に連絡があって、睡眠外来で相談を受けることがあります。
病院に受診する前に、知っておきたいポイント、初めに対処したほうが良いことなどをお伝えします。
学校の宿題に加えて、受験勉強、塾での学習時間があると、どうしても眠る時間を捻出することが難しいのが現実です。
しかし、十分に眠れていないと記憶の固定にはマイナスにはたらきます。
学校の始業時刻、通学にかかる時間を考慮すると、朝6時30分くらいには起きていたいものです。
個人差はありますが、授業中の眠気で困っているときは、まずは、下記にあるような睡眠時間を目指しましょう。
12~13歳(中学生1学年から2学年) 21:00~21:30→6:30
→ 9時間~9.5時間
14~17歳(中学生3学年~高校生2学年) 22:00~22:30→6:30
→ 8時間~8.5時間
18歳~(高校生3学年) 22:30~23:30→6:30
→ 7時間~8時間
入眠時刻とリズムも整えることが大切です。まずは2週間以上、実践することを勧めます。
睡眠日誌にて記録すると良いです。本人と1日の時間配分を話し合うことが大切です。
眠る前、ベッドに入ってからスマホを操作することはありませんか。
光刺激にもなりますので、睡眠リズムが後退していく要因になります。その結果、朝起きられないことにもつながります。
睡眠衛生の立場からも、夕方以降の光刺激を控えることを勧めます。
夕方以降に覚醒作用のあるカフェインを含む飲み物、食品を摂取する習慣はありませんか?
具体的には、日本茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、栄養ドリンク、エナジードリンク、ココア、チョコレート製品などがあります。
一度、食習慣についても見直しましょう。
寝つきが妨げられる、浅い眠りの原因になりますので、ご注意ください。
花粉症、アトピー性皮膚炎などの症状を抑える抗ヒスタミン薬などの服用はありませんか。
精神科・心療内科で精神安定剤を処方されている方もいますが、薬の影響について、主治医に相談しましょう。
毎月の生理が始まると、十分に食事で鉄分が取れないと、鉄欠乏性貧血になります。食べ物の好き嫌いはありませんか。疲れやすい、だるい症状が出現することもあります。
貧血の指標であるヘモグロビン低下がなくても、貯蔵鉄の低下が生じていることもあります。潜在性鉄欠乏症とも呼ばれています。
むずむず脚症候群、周期性四肢運動の症状があるため、寝つきが悪い、熟睡した感じがないという訴えの原因になります。そして、昼間の眠気、疲労感の症状が出現します。
血液検査によって、血算のほか、血清フェリチンを含む鉄代謝の評価することが役立ちます。
今までに書いてある要因が考えにくく、眠気がひどくて日常の勉強に支障が出ているとき、中枢性過眠症の一つであるナルコレプシーを疑います。
次のような症状はありませんか。
・日中の耐え難い眠気がある(居眠りが多い)
・寝入りに夢を見ることがある
・金縛りの症状がある
・笑ったり怒ったときに脱力感がある
4番目にある症状は情動脱力発作と呼ばれています。英語では「カタプレキシー」ですが、ナルコレプシーに特徴的な症状です。
ただし、ナルコレプシーでは、カタプレキシーがないタイプもあります。
ナルコレプシーに類似したものに、特発性過眠症があります。
外来でよくお話することですが、眠気の原因はさまざまです。睡眠衛生の徹底をしても、ひどい眠気、集中力低下があり、成績にも影響しているときは、病院への相談を勧めます。
特に、中枢性過眠症の可能性が考えられる場合は、最寄の睡眠障害を専門としている医師の診察を受けると良いです。
下記ページを参考にしてください。
https://sleep-doctor.info/sleep-specialist-hospital/
検査について知りたい方は、次のページをご覧ください。
https://sleep-doctor.info/mslt/
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