閉塞性睡眠時無呼吸と多嚢胞性卵巣症候群
肥満症と無呼吸症候群を起こす婦人科の病気
多嚢胞性卵巣症候群が引き起こす肥満、糖代謝異常、睡眠障害の症状について
監修:阪野クリニック岐阜いびき睡眠障害の治療外来 阪野勝久
女性は月経周期に関連した変化によって、眠りの病気を引き起こすことが
あります。毎月起きる月経痛による不眠、抑うつ症状などが婦人科外来で
よくみられる悩みです。
一般的には、生理周期に問題がある女性の場合、不眠や日中の眠気が
2-3倍ほど生じやすいと言われています。
産婦人科の病気の中で、不妊症や流産の原因となる内分泌疾患です。
閉経前にあるホルモンの病気としては、頻度の高いものと言われ、
生殖年齢の4-12%にみられると概算されています。
月経周期が変化し、不規則になったり、無月経になったりします。
男性ホルモン過剰分泌による影響のため、体毛が多くなります。
超音波検査では、両側の卵巣にのう胞が多数確認されます。
男性ホルモンの増加によって、高度肥満、インスリン抵抗性や糖尿病の発症を
生じやすい病気です。多嚢胞性卵巣症候群が発症すると、体重増加によって、
上気道が閉塞しやすくなります。
その結果、閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)を発症します。
臨床症状としては、眠っているときのイビキ、無呼吸発作、日中の眠気などの
睡眠障害の問題が出てきます。
先に述べたインスリン抵抗性や耐糖能異常については、閉塞型睡眠時無呼吸が
主な原因となっていることが報告されています。PCOSで困っている女性の
約半数にOSAが合併しています。
一方、PCOSにOSAがあると男性ホルモンの過剰分泌にも関連し、内臓脂肪の
増加に影響します。その結果、肥満が進行します。
PCOSには月経不順、無月経の症状があり、不妊症の原因として頻度の高い
婦人科の病気です。さらに、この病気は流産しやすい傾向があります。
前述したように、高度肥満を合併することがあるので要注意です。
肥満に伴う睡眠時無呼吸を有する女性の中に、流産を繰り返す方がいます。
母体における夜間の低酸素血症が胎盤の機能低下や胎児の発育障害を起こし、
流産が起こるという仮説が報告されています。
また、肥満体型で血圧が高い方も、妊娠中は眠っているときの様子について、
家族に注意してみてもらうと良いでしょう。イビキ、無呼吸発作があると、
妊娠高血圧が発症しやすくなります。
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