周期性四肢運動異常症の検査と症状の特徴
周期性四肢運動障害の診断に必要な検査
むずむず脚症候群に合併するPLMSと睡眠時ミオクローヌス症候群の特徴について
監修:阪野クリニック岐阜いびき睡眠障害の治療外来 阪野勝久
PLMDは睡眠関連運動障害という診断カテゴリーに属する病気の一種です。
同じグループには、むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)、
睡眠関連下肢こむらがえり、ブラキシズムがあります。
この病気では、眠っているときに、主に下肢が周期的にピクっと動くことが
特徴となっています。下肢の不随意運動によって、眠りの質が低下したり、
日中の眠気が生じたり、日常生活で仕事能力の低下が生じたりします。
周期性四肢運動障害の診断は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)の記録によって、
1時間当たりの周期性四肢運動の回数が、成人では15回以上、小児では5回以上
確認されていることが必須となります。
PSGでは下肢の筋電図によって5~90秒ごとに生じる筋活動(0.5~10秒)が
4回以上あるときにカウントされます。ビデオカメラも診断の参考になります。
一般的には下肢に生じますが、上肢の動きが観察されることもあります。
上記に加えて、PLMSによってい眠りが妨げられている、精神機能が低下する、
毎日の社会生活、仕事や教育などに支障が出ているときに診断が確定されます。
睡眠や日常生活への影響が診断に必要となります。
臨床的に睡眠が妨げられていることや日中への悪影響がない場合は、
PLMDの診断には至りません。他の睡眠障害や神経疾患、精神疾患による
影響が除外されていることも必須条件になります。
PSGを施行したときに、睡眠中の周期的な脚の動きが観察された場合は、
周期性四肢運動(Periodic Limb Movement in Sleep:PLMS)と記載されます。
周期性四肢運動障害(PLMD)自体は稀にある睡眠の病気と言われていますが、
1時間当たり5回以上のPLMSは中高年以上に見つかることが多く、4割程度の
頻度と概算されています。
中枢神経系における鉄分の不足は、ドーパミンの働きが低下するので、PLMSを
悪化させることが知られています。通常、血液検査にて血清フェリチンを
測定することで、貯蔵鉄について充足の程度を評価します。
むずむず脚症候群のある方では、8割から9割の割合で、PLMS(5/hr以上)が
認められます。また、激しい寝言や夢の内容に反応した体動が問題となる
レム睡眠行動障害の7割程度にPLMSの合併があるようです。
むずむず脚症候群に合併したPLMSに対してドパミンアゴニストを試みると、
PLMSの回数が減少することが報告されています。また、抗てんかん薬の
クロナゼパムはPLMSによる中途覚醒を減らすことがあります。
PLMDに対する薬物療法のエビデンスは少なく、これからの研究報告が
待たれます。
各種メディア取材、病院の教育講演、睡眠障害の記事監修など。
お問い合わせにご連絡下さい。